スタッツメーカー



 ガキの頃からだぜ。問題ないから今更変える必要もねえし、安上がりでいいだろう。疑問を呈した俺へと少し誇るように中里は答える。頭を洗うのも顔を洗うのも体を洗うのもひげを剃るのも煙草の景品についてくる固形石鹸一つで済めば確かに安上がりだが、俺の暮らし向きには合致しない。軽く頷いただけで黙る俺へと中里は口の片方をわずかに上げながら言う。それに、合理的じゃねえか。お前の好きな。なるほどもっともなご意見だ。余計な物が浴室になければその分掃除も楽になる。だが何も俺はそればかりが好きというわけではない。ドラッグストアは明日も営業している。必要なものは既にある。そう考える俺は合理的かもしれない。これからするのは本能的なことなのだが。
(終)


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