過負荷



 体内に渦巻く熱が放出を求めて肌の内側をノックしている。カンカンカンと鳴っている。金属と金属がこすれ合うようないやな音だ。耳の中に入り込んで鼓膜を突き刺し脳を揺さぶるような、甲高い殺人的な音だ。早く片付けちまえよ、と誰かが言った。だが誰も言っていない。声は耳から入ってきたのではなく、直接心に響いてくる。自分で言ったのだから当たり前のことである。絶え間ない金属音の中、思うのだ。早く終わらせちまえ。長い時間を共有しすぎてそこに名前が付けられてしまう前に、全部終わらせて、離れなければならない。しかし脳味噌は切り裂かれ皮膚の内側は沸騰しいつ破られるか分からない。だから触ってもらわなければならない。冷やしてもらわなければならない。自分一人で処理のできない熱を預け合うことの滑稽さ、無力感、手段の悪質さ、すべてに感じられる矛盾も、しかし伸ばされる手によって融かされる。その額に浮かぶ汗のように健全になりたいと思いながら、味わうためではなく、終わらせるために体を動かし、その実その肉の中を深く味わっているのであった。



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