秋
「秋だなあ……」
「切ないよなあ……」
「軽く滅入りますよね……」
「何か楽しいことないのかねえ……」
「ねえなあ……」
「いや、もうちょっとこう、何か考えようぜ……」
「んなこと言われてもな……考える気力も湧いてこねえんだよ……」
「マジでな……」
「なーんか切ないよなあ……」
「けど毅さん、元気ですよね……」
「元気だな……」
「っつかいつも通り?」
「エボ4に負けた後は、どうなるかと思ったんだけどな……」
「あっさり立ち直ったよな……」
「結構メンタル強いっすよね……」
「いやそうでもなくね?」
「あー……ハタケが顔ムサいっつった時、一週間くらい気にしてたな……」
「やたらと笑顔作ってて、変な空気になってたな……」
「いくら笑ったって、元の顔変わらねえのにな……」
「ちょっと怖かったな……」
「俺は好きだったけどな……インパクトあって……」
「インパクトはあったな……インパクトは……」
「でも言うほどムサくねえよな……毅さんの顔……」
「どっちかっつーと、クドいよな……」
「まあ濃いよな……」
「あれでジェスチャー加わると、熱いよな……」
「熱いですね……」
「こっから見てても熱ィな……」
「クドいな……」
「元気だな……」
「慎吾もよく付き合ってんな……」
「あいつはむしろ付き合いてえんだろ……サドだし……」
「頑張るよな……根暗なのに……」
「根暗なサドとか嫌っすね……」
「本人にそれ言ったら、絞められるな……」
「呑気なマゾとか言っても、絞められる気がするぜ……」
「それは毅さんだよな……」
「……何か違わね?」
「二人とも熱いよなあ……」
「飽きねえよなあ……」
「毅さんも切なくなったりすんのかねえ……」
「そりゃお前、女いねえんだから常時切ねえだろあの人は……」
「存在が切ねえよな……GT−R乗ってるのに……」
「GT−Rが似合ってるのに、何か切ねえってのもなあ……」
「すげえ雰囲気っすね……」
「誰も真似できねえよなあ……」
「してえ奴いんのかなあ……」
「微妙だよなあ……」
「彼女作らないんすかねえ……毅さん……」
「作れねえんじゃねえの……Rに金かけすぎて……」
「Rが彼女みてえなもんだよな……」
「俺はRより毅さんを彼女にしてえな……」
「まあ彼女にするなら毅さんですよね……」
「まあ彼女ならなあ……」
「……キミら秋すぎて頭おかしくなってね?」
「しょうがないじゃないですか……切ないんですもん……」
「現実逃避もしたくならァな……」
「トンボはあれだけ交尾してまくってるってのに……俺なんて……」
「俺だって……トンボにも勝てねえ……うう……」
「あいつら、無駄に車にぶつかってきやがるくせに……」
「俺らより交尾を……」
「あー……セックスしてえなあ……」
「セックスしてえよな……」
「毅さんが女だったら、俺絶対彼女にしてるのに……」
「そしてセックスを……」
「……それは発想がおかしくね?」
「しょうがないじゃないですか……秋なんですから……」
「トンボにすら勝てねえんだぜ……」
「頭がおかしくもなりますがな……」
「その通りですがな……」
「何人だよお前ら……」
「交尾してえなあ……」
「元気だなあ……」
「切ねえなあ……」
「はあ……」
(終)
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