流れ



「なあ、毅さんのエロ画像が流れてきたらどうする?」
「保存する」
「だよなー」
「ちょっと俺今の会話の流れ理解できなかったんだけど」
「高度すぎるギャグはツッコミを受け付けないから恐ろしいよな」
「ギャグだったの?」
「いや、毅さんも男だしさ、万が一ってことあるじゃん」
「そりゃ毅さんは男だろ」
「そこかよ」
「あー、まああの人女に免疫ねえからな。ヤバイ女に引っかかってヤバイ写真撮られてユスられるとか普通にありそうだよな」
「女がヤバくなくてもバックについてる奴がヤバかったらヤバイもんなー」
「っつーかお前保存してどうすんだよ」
「今?」
「どうするっつーか別にどうもしねえけど、そこはとりあえず保存だろ」
「え、どうもしないの」
「え?」
「でも毅さんのためを考えると、やっぱエロ画像撮られないようにしてあげないとヤバくね?」
「ヤバいか?」
「いくらあの人でもんな引っかかるかねえ」
「毅さんは巨乳の色気ありまくりの女に迫られても断れる人だと信じたい気持ちはあるけどな、俺も」
「全然信じらんねえな」
「むしろ簡単に想像できるのが何つーか、毅さんだよな」
「だからさあ、酒飲まされて潰されて、気が付いたら裸でベッドの上って状況でだぜ、昨日はすごかったわね、なんて巨乳美人言われてみろよ。ヤッてなくてもヤッちまったと思うだろ」
「何か微妙に現実的だな」
「巨乳美人は現実的じゃねえけどな」
「それでしばらくしてから妊娠したって言われてさ、ゴムつけたかどうかも思い出せねえからそうなったらもう責任取るしかねーじゃん。金たかられても出すしかねーじゃん。そしたらお前、毅さんの32も借金のカタになっちまうかもしれないんだぜ?」
「急に現実味が増してきたな」
「お前何かあった?」
「何もねえけどさ! そんな危険があるってのに黙って見てるわけにはいかないだろ! ちゃんと毅さんに、知らない女についていっちゃ駄目だって教え込んでおかないとさ!」
「何歳だよ」
「あー、でも最近流行りの詐欺って感じで教えとくのはいいかもな。その方が安全だし」
「っつかそんくらい慎吾が教えてんじゃね?」
「いやあいつは毅さんを引っかける方だろ」
「じゃあ逆に慎吾のエロ画像が流れてきたらどうするよ」
「保存する」
「だよなー」
「駄目だ俺もうこいつらの話についてけねえわ」
「まあまあ、慎吾もアレだろあいつも最近丸くなったし、チームのことも考えてっていうか毅さんのこと考えて、ぼちぼちフォローしてるだろ。多分」
「でも俺慎吾のエロ画像は見たくねえな。毅さんのは見たいけど」
「その差は何なんだよ」
「愛?」
「慎吾はそんなん撮らせねんじゃねえの? あいつ写真とか嫌いだろ」
「ハメ撮りは好きそうだけどな」
「無駄にアングル凝りそうだよな」
「レフ板設置してそうだよな」
「じゃあ慎吾が撮った毅さんのエロ画像が流れてきたらどうする?」
「保存する」
「だよなー」
「お前らエロけりゃ何でもいいのかよ! そこにこだわりはないのかよ!」
「いや別に」
「まあ基本エロけりゃ何でもいいよな」
「あー、毅さんのエロ画像流れてこねーかなー」
「美人局に引っかかってもらっても困るけどな」
「ってかそれ彼女できりゃ問題ないんじゃね? 彼女できたら毅さんだってさすがにそんな餓えねえだろ?」
「彼女と風俗は普通に別物だろ」
「まあ彼女いてもエロい女にはぐっとくるよな」
「死ね」
「いやもっとオブラートに包もうぜタッくん!」
「脳味噌潰れろ」
「ちょっと包んだな」
「俺は毅さんのエロ画像より慎吾のエロ画像の方が欲しいけどな。使い勝手良さそうだし」
「え、お前あいつで抜くの?」
「死ね」
「俺まで!?」
「貰い事故ひでーな」
「ちげえよ、何かあったら奥の手で使えそうじゃん。最終兵器になるじゃん」
「あいつユスると後怖そうだけどな」
「ユスられてユスり返すんならイーブンだからいいんじゃね?」
「抑止力か!」
「エロ画像の傘だな」
「やー、でも抑止力のためでも慎吾のエロ画像は俺見たくねえなー、やっぱ毅さんのエロ画像がいいなー」
「まあ毅さんのでも慎吾の抑止力にはなりそうだよな」
「じゃあ慎吾が撮った毅さんのエロ画像は慎吾の抑止力になるんでしょうか?」
「ちょっとそのシチュエーション複雑すぎてワケ分かんないんですけど」
「何で慎吾が毅さんのエロ画像撮るんだよ。ハメ撮りかよ」
「あいつと毅さんがハメ撮りするなんて俺は絶対許さねえぞ!」
「いやしてねえから」
「してたらどうするよ」
「保存する」
「だよなー」
「もうイヤこいつら……」
(終)


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