誤解 1/2
  四日目  <  1  


「やあ、こんばんは」
「お、ゴホン。やあ、こんばんは。遅くに、悪いな。俺だ。中里だ」
「ああ、分かってるよ。何か用か」
「用がなけりゃ、お前に電話なんて、俺はしねえよ」
「それも分かってるよ。そう、しかしな、悪いんだが、今俺は手一杯なんだ。体がね。だから明日にでもしてくれるとありがたい」
「いや、別にお前と世間話しようとかじゃなくてだな、確認したいことがあるだけだ。すぐ終わる」
「すぐ。そりゃ、具体的にどれくらいだ?」
「どれくらいって、お前、そりゃ……3分、いや、1分もありゃあな」
「――オーケイ、今から1分だ。俺の1分をお前のために使おう」
「ああどうも、うん。ゴフッ、グフン…………あー、なあ、高橋」
「あと52秒」
「待て待て待て待てすぐ言うから。あれはどうなった」
「あれ」
「実験だよ実験、あれ、その、あれだ。お前がお前の性癖をどーたらこーたら言ってた」
「そういうことを言った記憶はないが……まあ、意味は通じないでもないか。うん、成功したよ」
「何?」
「想像力の勝利だな」
「勝ったのか」
「俺は負けではないと思っている」
「ハッ……おい、冗談言うなよお前」
「そうやって時間を無駄にして、何の得がある?」
「けどなお前、それは本当の……本当に、じゃねえ、本当か?」
「努力が報われたんだよ。俺が俺自身を見極めることによって発展しようとする、真摯で誠実な努力が」
「それは……どうも、おめでとう」
「ありがとう。……用は終わりかい?」
「いや、その、待て。時間はあるだろ」
「30秒を切るところかな」
「ああ何だ、だからな高橋、俺は…………えーと、会えないか」
「……うん、会おうと思えばいつでも会えるさ。都合が合えばな」
「いや待て、何だ、待てよ。今すぐだ」
「なあ中里、言っただろう。俺は今、手も足も頭もあそこも一杯一杯、その上今日は家から出たくない気分なんだ。すまないが遠慮させてくれ」
「なら俺がそっちに行く。会って……会ってだな、話がしたいんだよ」
「話すだけなら電話ででもいいじゃないか。そんなに言うなら後で時間を作っておくさ。何だったら文通でも良い、文字で交流するのも風情があるし、互いの新たな性質を発見できるかもしれない」
「んなことどうでもいい、会いたいんだ。俺は。……お前に」
「無茶な奴だな……うん、まあ……いいよ。お前の熱意を称えるよ。譲ろうじゃないか。今から一時間のうちなら大丈夫だろう、家には誰もいない。時間は守ってもらうぜ。俺は紀律を乱す人間は嫌いでな」
「ああ、そりゃもう、俺だってそういう奴は、おう、嫌いだ。あ、ところで」
「1分だ」
 太い紐を鋭利なナイフで素早く振り切ったような音を最後に、簡潔に冷酷に通話は終わった。

 地図で住所を確認し、ベッドと壁の間に落ちていた青のジーンズを履いて、木綿のシャツの上に革のジャンパーを引っ掛けて車に飛び乗ると、既に5分経っていた。山から家に帰り服を脱ぎ捨てたところで電話が入ったのは唯一の幸いだ。でなければ、身支度にはもっと時間がかかっただろう。
 赤城レッドサンズの外報部長とは片手で数えられるほどの交流しか持っていないが、中里には印象深かった。トップたる高橋兄弟は天上天下唯我独尊、その二人を盲信し、身内との宗教的共感を強くするがゆえに排他性も強く、自制心は適度に弱い若者メンバーが目立つそのチームにおいて、温和な父性を感じさせる地味な外見と凡庸なオーラはいっそ独特だったのだ。語り口にしても、地元の小さな商店街のクリーニング屋の愛想の良いご主人のような親しみやすさがあり、悪い印象だけはなかった。
 だから話を聞いているうちに、自分の置かれている状況を把握した方がいいんじゃないかという不安とともに、困っているのならば少しは手を貸すべきだ、という義務感が俄然湧いてきたのである。
「どいつもこいつも勝手なことを……」
 赤信号の間に中里はハンドルを両手の平で叩き、舌を打った。
 今となっては、あの高橋涼介の隣で外交的手腕を発揮している人間を普通の苦労人と勘定するのは大いに疑問だと思えるし、仲も深そうなのだからこちらが動かずともいずれ独力で真実に到着するだろうとも考えられたが、それはもう今更だった。信号が青に変わる。車を発進させ、もう一度舌を打つ。
 高橋涼介と最後に会って以来のこの四日は、青く澄み切り波紋一つない湖のごとく平静に過ぎていったが、それは四日前の庄司慎吾との会話から得た、理由のない確信によるかりそめの安定であった。それでも涼介が言うところの勝利が訪れなければ生活に何ら障害はなかっただろう。しかしそれが結果として出た今、現実を直視せず万一への対策を練っていなかったことは大きな過失となった。なぜなら心の準備がなかったため、事態の唐突さに混乱するあまり、そのまま通話を終わらせることに寄る辺がなくなるような焦りを覚え、相手を引き止めることに逸って、今すぐ会いたいなどと口走って頑固に主張してしまい、何の気構えも対応の仕方も持たずに会うハメとなった。障害だらけだ。
 今もって、涼介と会いたいとも会って話しがしたいとも思ってはいない。会うことを切望するかのように言ったのは、それが意思交換の術として最も確実であると咄嗟に考えたからだ。だがその意思交換の内容までは考えていなかったし、混乱の落ち着いた今では、外報部長殿が普通ではないと思うのと同じように、高橋涼介以外に寄る辺はいくらでもあると思えている。
 しかしそれもこれも、もう今更だ。意図によらないにせよ機会ができてしまったならば、それは有効に使うべきであった。
 地図を見た限り、高橋宅まで20分というところだった。その間に、会ってどういう話をするか、どういう結論を出すか、これを考えることだ。
 まず、事を成功させた涼介がどう出てくるか。自己の追究だか発展だかと言っていたが、要するにあいつは自分がどこまでホモなのかを知りたいんだろう、と中里は捉えた。ならば、次の段階へ進めるかを試そうとするのではないか。次の段階。現実との対応。本人を前にして愚息が目覚めるか、否か。
 考えただけ中里の頭は痛くなってきた。狂気的とまで言うつもりはないが、その実証的精神は中里にとっては縁遠い、異常なものだった。真面目に向き合おうとしても、別の領域にあるその精神の本質を見知することはできない。不明確すぎた。そんなものまで抱え込んでやろうと思えるほどの好感は、涼介に対しなかった。だからそこまで手を貸す理由もなかった。
 涼介が次の段階へ進むと断定するに足る材料はないが、そうしないとも断定できない現状では、とにかく最悪の事態は避けなければならない。よってあの男と会って話すべきはその意向であり、少しでも次への兆候が見られるようであれば、早急に潰すことが第一だ。涼介一人の事象である今回のことですら律儀に許可を求めてきたのだから、相手の生身が必要となるその場合においては、相手である中里の許可を求めないこともないだろうし、大体が中里の協力なしには不可能なことだ。したがって意図の把握はやりやすい。何もなければさっさと帰ってしまおう。他に話したいようなことは、ここにいたっても何一つ思い浮かばなかった。
 時計を見ると12分経っていた。車の流れは非常に良かった。思ったよりも時間はかからないだろう。考えながらも周囲に目を配らせる。道は正しい。方向感覚には自信があるが、地図を暗記しているわけではない。
 速度を一定に保ち車を走らていると、ふと疑問が過ぎった。
 高橋涼介は大人しく引き下がるだろうか?
 答えはすぐに出た。引き下がるだろう。そこまであの男が自分に執着しているとは思えない。
 ――俺に?
 中里は違和感を得た。思考の端に何かが引っ掛かった。俺にだって? 涼介の主体は涼介である。中里ではない。俺じゃない。あいつが俺に執着なんてするはずがない。中里は涼介の声を思い出した。真面目で重いが、他に働きかけようとする心がいくらも感じられない、薄く生ぬるい声だった。俺が俺を気に食わないんだよ。涼介はそう言ったはずだった。つまりはそういうことだろう。あいつが執着するにしても、それは自分自身に対してだ。
 他がどうだかは知れないが、今回でいえば涼介の行動原理は自己の把握、それに尽きる。犯罪スレスレまで常識の枠を取っ払い、より正確に限界を見極めようとしている。その中身は真面目に語るにはマヌケすぎるものだが、些細なことでも妥協しないからこその高橋涼介のあの名声だと思えば、笑えはしなかった。
 ということは、決定権はこちらにあれど、涼介が中里の決定を不服に感じ抵抗してくる可能性は十分にあると考えられる。
 だが協力するわけにはいかなかった。手を貸さないと強く拒否する理由もないが、手を貸すほど強く賛同する理由もない、という消極的な否定は、にわかに生じた『あいつのために何で俺がこの身を提供してやらなきゃなんねえんだ』という反感によって、積極的否定へと変わっていた。自分の意思が、自分の存在が蔑ろにされているようで、憤りは強く、プライドは傷付いていた。認められはしなかった。
 写真を撮らせてもらった恩はあるが、それは涼介が許諾したことだし、すべて返した。そして涼介も中里の写真を撮っている。いわばお互い様、貸し借りなし、イーヴンであり、交渉権はどちらにもある。
 そこまで考え、中里は右手の親指でハンドルを二回擦り、舌を打った。あいつは覚えてんのか。呟いた。中里は覚えており、たった今思い出した。純度百パーセントの冗談であったが、できた折には試してやろうと宣言していたことをだ。俺も試してやろうか。不言実行及び有言実行が中里の座右の銘である。状況を無視し、言葉のみを取り上げられて迫られては、逃げ切る自信がない。何てこった。
 もし覚えており、あれを持ち出さんとしたら、涼介はどういう方向に動かすだろうか。協力するか試してみるか二つに一つ、とでも言うだろうか。
 まず協力はできない。矜持がある。しかし、試すことは不可能だ。俺はいたってノーマルだ。間違いなく普通なんだ。中里は頑強にそう思っていた。涼介のその顔を間近で見ても、その立ち居振舞いを目に焼き付けても、性欲は露ほども湧いてはこなかった。見蕩れた、それはあるかもしれない。傍にいると首の皮膚は虫が這っているようにざわつき、背筋が緊張し、空気が薄くなり、視野が狭くなり、胸はいささか苦しくなった。涼介は並みの男よりも綺麗だとも言える。しかし、襲いたいと思うことはなかった。惚れてもいなければ、好きでもないのだ。
 むしろあの余裕綽々、完全無欠の英雄のごとき出で立ち、まとう紳士的空気は、わずかな劣等感を煽る。ほんのわずか、塵ほどもないものだったが、確かに存在しており、拡大できないこともなかった。
 もしこれが女性相手だった場合、抵抗できるかどうか中里には想像もつかない。だが高橋涼介は男である。例え美しいと呼ぶに相応しい形状をしていたところで、顔も体つきも声も何も、紛れもない日本男児だ。前提として惚れうる対象でははない。
 そうであっても好意を元とすれば努力次第でどうにかできる可能性も少しはあるかもしれないが、嫌悪が根底にあっては考えることすらおぞましくなる。どうにもならないんだ、と中里は思った。どうにもできない。頭の奥底には、細く白く、冷たく柔らかく見えたにも関わらず熱く生々しかった、その手を握った感触がいまだ膿のごとく、何かを訴えかけるように疼いてもいる。しかし、脳味噌をひっくり返しても、それが落ちてくることはないだろう。何が落ちることもないだろう。
 だから、試すことはまず不可能だし、協力はそもそもする気がない。
 幸いこれに説明できるだけの筋は通っているから、危険な兆候が窺え次第先手を取ってそれらを主張をし、何を言わせる隙も与えず押し切ってしまえば、何とかなるだろう。いや、何とかするのだ。
「……何でこんなこと考えなきゃなんねえんだ……」
 中里はぼそりと呟いた。高橋涼介の申し出を受けたことが悔やまれた。いや、それ以前に、人の恋路に手を出した自分が悔やまれた。結局それはうまくいったようだが、こんなことなら馬に蹴られて死んだ方がマシだとすら思った。己の阿呆さに溜め息しか出てこない。何もかもが憎らしかった。
 そしてはたと周りを見渡して、道を行き過ぎたことに気が付き、慌ててUターンをした。車内は溜め息に染まった。


「さて」
 涼介は自室の椅子に深く腰を落とし、右肘を肘掛けに置いてざらざらとした顎を細い指で撫でながら、小さく呟いた。目はノートパソコンと紙と本が規則をもって散らばっている机の端にある、青い猫型ロボットを模したアナログ時計の秒針に釘付けだ。その動きを目で追い、針が60回時を刻んだところで、机の右側の一番上の引き出しから、二枚の写真を取り出し、地の色が見える机の上に隣合わせに並べた。
 記念にしかならない写真であった。どちらも素人が撮ったことを命懸けで主張していると疑われるほどに光源もタイミングも計られていおらず、しかしそれはもとより、どちらも被写体の良さを引き出そうとする努力がからきし感じられなかった。ただ撮るという行為をするためだけに撮られたものだ。記念とは撮った記憶と撮られた記憶が写真によって共有されてこそ名付けられるものであるから、それらには記念と呼ぶべき価値すらなかった。
 涼介は鼻からゆっくり息を吐くと、その二枚を重ね、最低でも二日に一回は見ている男が写っているものを上にして、引き出しに戻した。
 下腹部の上に置いていた携帯電話を左手で取り、意味もなく片手だけで開いて閉じてを二回繰り返してから、机の上に置く。そして時計に目を戻した。時計の長針はわずかに下に動いていた。秒針は変わらず一定に動いている。イチ、ニ、サン、シ、と、それが動く度に数えていたが、三百まで数えたところで飽きたのでやめた。
 さて、と今度は頭の中で呟いた。どうしよう。
 だがどうするべきことも思い浮かばなかったため、自分が吐いた嘘について考えた。日々の繁忙さは消し去りがたいが、能率を向上させるための緊張が必要な場合以外での切迫は避け、合間合間に気を休めるだけの時間をたっぷりと確保している。今もまた、電話であっても一時間はできるほど悠々としていた。
 思いつき、と思った。そこに深い思索などなかった。軽やかに挨拶をしてやった段階では、まだ誘導してやろうと考えていたのだ。
 その前までは予想された展開だった。大方の感情が持続する期間は短い弟だが、家族のことともなれば甘えが出るためひどく拘泥することは長年の付き合いでよく分かっていたし、その弟が兄である自分の問題で頼るのは家族ぐるみの付き合いがありチームの仲間でもある親友以外には考えられず、そしてその親友は常に堅実な手段を取りたがる男で、重要な関係者の事情を聞くことがあらゆる事態において最善な方法であると見なしていた。だが今回は事情を聞かれた関係者が事態を把握しておらず、またその関係者は行動様式が単純であったから、問題とされた人間に事がどうなっているのかと聞いてくることは容易く予想ができたし、その予想も不愉快ではなかった。なぜならそこまで手が込まれるように仕立て上げたのは涼介自身に他ならなかった。そこまで手を入れなければ弟の目も親友の目も一時的にうまく逸らす自信がなかったのだ。事実だけを積み上げ防壁を作り上げることは誰が相手でもうまくこなせたが、親しい相手に対し虚構で身を固めることは元来下手だった。
 しかしとにかく、すべては己の存在が無視されていると思われるほど、狂いなく進んでいた。
 ただ実際にその声を耳にしたところ、脳味噌の表面をゴム手袋越しに撫でられるような、快でもあり不快でもある、直接的な感覚がもたらされた。それが計画的な思考を一旦停止させる。なあ、ちょっと待ってみないか。それがどこから来たのか気にならないか。そうだな、気になると言えばそうだ。よし、じゃあちょっと待ってみよう。だが軌道に乗っていた思考は完全には止まらなかった。だから気力を振り絞ってあるはずのものをないとし、己に制限をかけたのだ。
 涼介は両手を腹の上で組み、目を閉じ、若々しく慌てた声を頭蓋骨に反響させた。会いたいんだ。そう言うことによって死を回避できるかのような必死さがあった。そこに純粋な欲望はない。だがまつわる真剣さは情熱を感じさせ、胸に響いた。
 目を開き、時計に焦点を合わせながら、どうしよう、とまた考えた。
 今度はどうすべきか考えることは浮かんだ。中里が無事ここへ到着した場合、どこまでの親切さで応対するかを決めることだ。
 どう出てこられても私意に沿って動かす自信はある。大抵の人間は私的な関係においてまで理性的であろうとは努めず、よって一度感情を乱してしまえば思考は容易く主観に固定され、盲目状態となる。そして中里はその大抵に入る男だと、少なくとも涼介はそう考えていた。
 しかし耳の内部に粘着している声は、何かの可能性を思わせた。漠然としていたが、見捨てるには大きすぎる何かだった。あの男は以前、当然のように、そうではないことが不思議でならないように目を見開きどうにもならないと言い、それに涼介も納得したが、それが理性的な判断によるものか今では十分に疑う余地があった。あの時、次元を越えた関係性の確立の可能性に目もくれない中里に対する、すべての諦観に対する原始的な嫉妬があったことは認めるしかなく、それが思考の一端を狂わせ、冷静さを一時的に闇に溶かし込んだとも考えられないわけではない。それが正しいかはもう一度検証するべきであり、何らかの可能性がそこにあるのだとしたら、見極められるまで待つべきだろう。
 今が冷静なのかと自問しても、正しい選択ができるのかと自問しても、首は縦にも横にも動かない。だが待つとするならば差し当たり、最善と考えられる対応はしなければならなかった。まず支配的であることは間違いである。既に自分にとって限定されている相手を更に限定することは、あるかもしれなかった可能性の殺害を意味するし、理性的ではない。それを最初に殺した中里への多少の憎しみも、そこから生じる衝動もあるが、暗い感情は得てして客観性を失わせる。だから支配は間違いだ。互いに協力し、尊重し、楽しむことだ。そうしてこそ真実の限界に達せられるだろう。
 さて、と涼介は口に出さずに言った。結論は出た。最大限の親切をもってして、中里を歓迎する。少なくともあの男を歓迎しない理由もない。どうせあの男の話したいことは電話の続きだ。なるべく意思は聞く。探究心がないわけではないから実際的な協力は申し出るつもりだが、強硬に拒否するようであれば無理強いはしない。話は5分もかからず終わるだろう。無駄はない。
 その前に顔でも洗おうかと考え、引き出しにしまった写真を取り出してから立ち上がり、自室のドアを開けゆっくり階段を下りていくと、あと五段というところで甲高いチャイムが鳴った。訪問者をインターフォンで確認するか一瞬考えたが、ドアスコープで確認しても変わりはない。そのまま階段をおりきって玄関に向かい、スリッパとサンダルを交換し、鍵を開けてドアを押し開いた。



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