- 『涼介だろうが啓介だろうが、たばになって来い!! あれからオレがどれほど走りこんだか思い知らせてやる!!』(P23)
- 交流戦当日妙義山にて。「あれ」が強調されてます。あれからね。あれからか。どれからだ。
- そんな細かいところからこそ妄想は始まるものです。なんですってば。ええ。
- 実際たばになって来られたらどうするんだろう、とかね。まさか3(略)、いや、それはぞっとしないな。
- でもやりようによっちゃあありだなあとも思います。マニアックかもしれませんが。
- という妄想は置いといて、中里さん、微妙に髪の毛の分け目が左に寄ってるんですね。本人からすれば右に。普通に真ん中わけだとずっと思っていました。でもどこかのコマだと同じように左に寄ってて、また他のコマだときっちり真ん中だった場合もあったような気もする。
- 時によって変わるのかな。そうだよな、いつも同じヘアスタイルなわけないよなあ。当たり前か。
- そしてお顔はまた一段と濃くなっています。
- ところで隣のコマではどう見ても山は昼なのですが、そんな時間から仁王立ちしててどうするんですか中里さん。
- あるいはこれは夕方近いのだろうか。にしても早すぎませんか中里さん。
- 『忘れるなよ、ナイトキッズに中里毅がいるってことを!! オレのRをなめてもらっちゃ困るぜ!!』(P23)
- ナイトキッズ「の」ではなく、あくまで「ナイトキッズ」が主体であるところに、所属意識を感じます。
- しかし、このカットだともう夜になっているぞ!
- なるほど、次元の狭間にいたわけか!
- ではなく、最初から夕方か夜だったんでしょうね。
- でも昼間から勇んで来て、ずっと集中しすぎて微妙に疲れていた中里、という説も捨てがたい。
この回、題名通りに啓介を高く評価する場面が多く、しかもケンタ視点でのことも多いので、啓介の格好良さがよく描かれています。また、「とりあえずナイトキッズとあそんでからだ」という啓介のセリフ、「今の啓介さんならナイトキッズの中里なんか敵じゃない」というケンタの思い、レッドサンズメンバー(?)の「週末は妙義遠征だろケンタなんかと遊んでていいのかな啓介さんも…」「余裕じゃないのそのへんは…」「中里毅なんかめじゃねぇってわけか…」という会話、そして中里の激しい気合、こういうところから、この先どちらが優勢になるかこの時点で予想は立てられますね。しっかし『なんか』が二回も出てきてるのはどうしましょう。そこまで軽んじなくてもいいじゃないか!中里はお前らよりは速いぞ!たぶん!で次回、と。
- 「待ってたぜ… どっちがオレの相手してくれるかしらねーけどよォ」(P38)
- とりあえずあなたはどれだけ待っていたんだと。気になります。
- この頃からはっきり頬が削げてますね。目は四角く眉は太く、髪はカチカチっと。完成形かな。
- どっちが、ということは涼介がハチロクに負けたのを境に一線をしりぞいたことは知らないのか。
- そしていまだ涼介をライバル視していると。
- 交流戦の段取りをつける際に、なんらかの話があってもよさそうなものだが、そんなことはどうでもいいとするほど、中里が気を吐いていたのだろうか。
- あるいはすべてわかったうえでの、挑発のためのセリフか、だな。
- 「妙義の谷は深いぜ せいぜい命だけは大切にした方がいいぜ」(P39)
- という「ぜ」のコンボ、これすなわち中里劇場の序幕である。
- 1ページを使って立つ中里と後ろに控える32が描かれたこのシーンが私は好きです。セリフもそうですが、中里の微妙に内股なところとか、腕が細いところとか、32の重厚感だとか。次ページでの啓介との対比もあっていいですね。
- 「ケッ」『(この自信過じょうヤローが)』(P41)
- 啓介の挑発的な言葉に対して、怒りをみなぎらせた表情で。
- 「ナイトキッズなんかにゃオレの敵はいねーよ」って、「下品なリアスポ」以上にきつい言葉かな。
- さすがGT−R嫌い、というか、啓介これはもう中里を圧しすぎではあるまいか。
- あ、そうか、楽しいのか(偏見)。
- 「いいぜ、それで行こう」(P43)
- 史浩の「こちらの希望としてはヒルクライムから行きたいんだけど…いいかな?」というお願いに。
- 男前です。
- この史浩とのコマは、なんだか走り屋関係者の二人、ではなく、体育教師と国語教師という感じがします。
- ところで私はこの前のコマを見て、初めてタイムアタックがあったことに気付きました。そうだよな、どのバトルでもタイム計ってるもんな。見逃しているコマが多いなあ。
- てことはレッドサンズからするとこれは、交流戦ではあるが、バトルというよりはタイムアタックであるのか。タイムを競うと。永久に塗りかえられないであろうコースレコードの更新。勝ち負けはあとからついてくる。
- それと同じくあまり関係ないけれど、この史浩は敬語とタメ口の使い分けを狙っているような気がしてなりません。
- 「その方が助かるぜ、どっちかっていやーオレは上りが得意だからな」(P44)
- 上から続いて。このコマの左に背を向けた中里、右に顔を向けた慎吾がいるのですが、その慎吾の隣に「上りが先か…」というフキダシがあります。これは史浩との会話を聞いていた慎吾が中里にかけた言葉かなと。
- この半分がフキダシに隠れている背中、けれども渋いです。そして厳しい。
- 「今さらガタガタ言ってもしかたねえだろ、やるだけだ… 上りならオレは勝てる下りなら五分五分…あとは気合と根性だ」(P44)
- オレの右手さえ使えりゃ、下りなら絶対負けやしねえ、と慎吾が悔いたのちに。
- この表情、余裕は窺えません。真剣ということでしょうが、切羽詰っているようにも見えます。
- そんな中里のこのセリフと慎吾の泣いているような顔とを合わせると、どうしてもナイトキッズには不利な状況であると思わずにはいられませんね。
- しかしセリフ一つでピシッと決めてくれるな、この人は。気合と根性だなんて。最高だ。
- 「負けらんねえ… ここはオレ達の地元だぜ!!」(P44)
- 絵は山だけなのですが、流れ的に中里のセリフかなと。
- 結果を知りながら読み返すと、このあたりの流れは非常に痛々しいですね。あー、報われねえなあ、という。
ナイトキッズは人気ないのであった、なんて書かれているところでも哀愁漂う回でございました。そこまで話がレッドサンズ側かあ、とも思うのですが、これから啓介を拓海のライバルに据え、また涼介を主役格としてまた参謀として動かしていくならば、最初の頃に涼介の80%の力でついていきながら涼介と対等の口を利き、啓介の実力も肌で感じさせ縁もつけた中里を、まず完全に下に置かなければならないということなんでしょうね。まあ言っちまえば踏み台か。でもそれでも中里は中里であるところがたまりません。んで今更ながらこの高橋兄弟は揃いも揃って格好よろしいなと思いました。さすがだなあ。そして雨が降りそうな伏線が入りつつ、まだ激闘はしないと。
- 「スレちがった時にすぐわかったぜ… あのクルマにはオーラどころか妖気がただよってるからな…」(P54)
- この前のコマで、慎吾からハチロクがいることを知らされて。中里さんが可愛いのは当然として、すれ違う際拓海がFDにだけビリビリしたものを感じていてこの時点で格の違いがにじみ出ているようなところも置いておいてと。
- 妖気か!格上げだな!
- これが京一とかになるとどういった種類のオーラを感じ取るのだろう、と気になります。
- あと文太。これは妖気よりも上だろうが、上ってなんだ。殺気?
- こういうところから妄想の輪が広まります。
- 「奴を見た時からオレのテンションはふっとう寸前だ… このバトル絶対勝つぞ!!」(P54)
- ハチロクまで来てるとあっちゃあ、負けるわけにはいかないわな。
- シーンごとにキメてくれるのが素敵です。
- ただ同ページの啓介と比べると、多少余裕がないようにも見えるかなあ。
ケンタが藤原拓海の存在を知り、慎吾がカウントし、GT−Rが先行でバトルが開始して、涼介の啓介への信頼がはっきりと見えた回。最後がまあ、結論かもしれません。
- 『手ごわいぜFDはコーナーが速い!!』「(ちっ)」『妙義の上りでオレとRにここまでついて来れる奴がいるとは思わなかった…』(P83)
- バトル開始、追われる中里、追う啓介。
- 手ごわさを感じながらも、このときはまだ冷静さを保っているような顔である。
- 『さすがに高橋兄弟と言っておこう… めいっぱいヤバイモードに突っこんで行くぜ!!ついて来れっか!!』(P83)
- 高橋兄弟でくくるということは、レッドサンズというチーム単位ではなく、涼介と啓介の共同作業、じゃない共同作品としての『啓介の操るFD』が相手であると中里が認識しているということだろうか。
- そう考えると、この挑発的なセリフはなかなか深いですね。
- 「オレはこのバトルに命かけたァ!! 絶対に負けられねえバトルなんだよ!!」(P83)
- 1ページ縦に突き抜けのドワシャアアアという文字の中、32が走っています。
- ひとつひとつのセリフに重みがあります。
天の声が大体説明してくれているので、セリフ自体は少ないです。その天の声の中には、中里が公道のGT−R使いとしてはほぼ完成の域にあった、と書かれていたり、啓介が中里を一応は『やるな』と評価していたりしますが、この次の回見ると、まあそうなんだなあ、と。しかしまあ涼介とケンタは啓介の勝利を確信しており、また拓海がFDにインパクトを感じたといい、樹がGT−Rが勝つ気がすると言っている時点で、やっぱりそうなんだろうなあというところですね。あと前髪の下りていない中里さんのアップが拝める回でした。というわけで続く。
- 『そこまで曲がるか!?』「(くっ)」『こんな速いコーナーリングする奴見たことないぜ!!』(P96)
- 立ち上がりで遅れて突っ込みで取り戻すFD。崖っぷちコーナーののち。
- 全体的に顔が縦長となり、渋さが増している。
- ここで中里が驚くことにより、啓介のテクニックが強調されている感じがします。
- 『なぜだ!! これだけブレーキをおくらせてアクセルを開けてもふりきれないのか!?』(P103)
- 振り切れないと。
- 突っ込み重視か立ち上がり重視か、という差がここに表れているのかな。
- 『これ以上は行けないぜ 間違いなくガードレールを突きやぶってバンジージャンプだ!!』(P103)
- 支えがついてりゃ楽しいですが、鉄塊のままドカーンといったらもうジ・エンドですね。
- こうして内心焦る中里と、その次のコマの啓介との比較ったらもう。
- アニキの内助の功を客観的に己のものとして自信をみなぎらせている啓介も格好良いですが、このまさに必死、命を賭してバトルに挑んでいる中里の熱さと多少窺える恐れのある表情とが、やあ格好良いやら可愛いやらです。
この回では慎吾が中里に仲間意識を感じていい奴だとか勝ってくれよだとかと健気に可愛く思っていたり、涼介が啓介の成長をかみ締めていたり、啓介が中里を「昔のオレとそっくり」と言ってたりで、見所が盛りだくさんです。
- 『ふってきやがった…!! どうする…!?こうなると先行のオレの方がプレッシャーかかるぜ!!』(P117)
- 啓介の類稀なるセンスやキレといった能力の解説が終わり、雨がぽつぽつと降ってきました。
- この雨は拓海とケンタのバトルによる降雨での拓海の力を見せる伏線でもあるのでしょうが、中里の敗北を示唆するような強いプレッシャーを与えることにもなっていますね。
- どうする、と一瞬でも悩んでいるところが、なんだかもう、この顔もいいな。中里だ。中里以外の何者でもない。
- 『ふりはじめが一番こわい… 行く時は何のまえぶれもなくいきなり行くからな』(P117)
- 行くからな、の「行く」が強調されて、行くことの怖さがひしひしと伝わってきます。
- 「(くっ)」(P117)
- 『そうかよ…』(P118)
- フッ、と笑っています。少し引きつっているような、なにかを理解したような笑み。
- 『そのつもりかよ高橋啓介!! ひくつもりはまったくねえってか!!』(P118)
- 笑った後に顔を引き締め、集中する。
- この辺までくるともう、あーかっけーなー中里さんとばっか思います。
- 中里サイドの気合や焦燥が描かれれば描かれるほど、啓介サイドの実力が引き立つなあ。
- 『うけてたつぜ、命がけのバトルなら上等!!』(P118)
- 挑んでいるのは啓介なのか、それとも中里なのか。危ういバランスの上にあるバトルの優勢関係。
- 『コーナーひとつ抜けるたびに全身の毛穴からドッと汗が出る!! まるでロシアンルーレットだぜ!!』(P122)
- いい例えだ。
- あーかっけーな中里さん、かっけーわー。
- この極限的な感覚を得てしまえば他のバトルなど屁でもないだろうし、啓介とFDについては記憶に焼きついて離れないことだろう、とは私の妄想です。
- ?『フロントガラスの雨つぶはどんどんふえていく!! その瞬間を確実にキャッチできるかどうかが勝負のわかれめだ!!』(P122)
- これは多分前のコマから続いているであろう啓介のセリフだとも思うのですが、一応。
- 『ゴールはもうすぐそこだ!! 絶対に逃げきれる!!』(P123)
- で、上の次にこの中里のセリフがくると。ぐわっとね。
- 「逃げきる」という意思ではなく、「逃げきれる」という願望であるところに、切迫したものを勝手に感じます。
- よほどの恐怖と緊張か。
最後のコマで慎吾が毅の勝利を泣きそうな顔で信じています。せつねえなあ。
- 『シビレまくるぜ!! こんな神経すり減らす恐ろしいアタックはオレの走り屋人生で初めてだ!!』(P137)
- 啓介は中里のドライビングに思い切りが欠けたこととタイヤの余力を感じ、どんどん攻めていく。拓海は最後はダウンヒルであるからフロントタイヤの勝負だと提示する。そして追われる中里。
- 初体験か!
- というような冗談を飛ばせるコマでもありませんが、そこは押さえておかねばなりません。
- 『もう少しだ!! ゴールはすぐそこ… とびこんでしまえば!!』(P137)
- 『この状態から解放される!!』(P137)
- と、ワイパーを動かす。
- 先行してペースを作る方がプレッシャーがきついか、という啓介のセリフを裏打ちする緊迫感です。
- 『キレやがったな、そんなスピードで行けるわけねえ!!』「(くっ!!)」『バカヤローが岩のカベに突っこむぜ!!』(P143)
- 拓海と樹のいる最終コーナーへ二台が来、FDが外から行く。
- 勝利を期待したというよりは、相手の行動に衝撃を受けているような厳しい顔である。
- セリフだけ取れば高笑いをしていても合うかもしれないが、この顔のおかげで中里が驚きと恐怖と不安と不審に襲われていることが窺える。
だが啓介のFDは行けると教えてくれているのであった。以下次回。ところで涼介が雨が降る中、バトルの流れが読めなくなった、オレでもこの状況になれば躊躇するだろう、と言っていますが、そんな状況で走る中里と啓介ってえのは、原作の段階での走り屋の中でも結構なキレ方をしているのかなあ、と思います。そしてこの回を読むと、では雨が降った段階で啓介が先行であれば、啓介はどの程度のプレッシャーを感じながら走ったのだろう、と想像したくもなりますね。啓介であれば、その状況をどう乗り越えただろうか。で啓介について妄想をすると、中里についての妄想にもつながっていく、という回路が私の頭には備わっておりますので、まあアレな方向にしか進みませんでね。以下次回と。
- 『オレの立ち上がるスペースをふさぎやがった…』「(つう…)」『アクセルを踏めない…!!』(P150)
- 拓海の観戦している横を過ぎ去っていくFDと32。FDは外から32に寄せていく。
- これ、中里の技術や集中力が欠けてたら、FDの方がやばいよなあ。
- しかしそれでもつっこめる啓介の、ってことなんだろうな。
- 中里からすれば痛恨の極みか。
- 『だが奴の右サイドにもカベがある…』(P150)
- 『条件は五分だ このまま並んで同時に踏むなら俺の勝ちだぜ!!』(P150)
- ハチロク戦のときもそうして、結局タイヤがもたなかったんだったか。
- 今回はどうなるか。
- ところでこのコマでの中里さんの顔がとてもエロくてどうしようもありません。
- 勿論主観です。
- 『な…に…!?』(P151)
- 驚愕。
- FDにとっては壁ギリギリまでがコースなのであった。
- 「高橋啓介… おまえ長生きできねータイプだぜ」(P156)
- FD勝利のバトル後、雨が降り続ける中、中里が啓介に話しかける。
- 啓介はなにかに対して自覚がありそうな表情である。
- 雨に濡れているこの中里さんの首筋はきっとエロイことだと思います。
- 長生きできねータイプ、ってこれで長生きしなかったら恐ろしい予言だな。
- で呼ぶときはやはりフルネームと。
- 「雨の中であんなキレた突っこみしやがって… もう少し路面がぬれてりゃFDは間違いなく今ごろスクラップになってるぜ」(P157)
- 引き締まったいい表情だ。
- ともすれば負け惜しみとなるセリフが、心配の色を帯びているのはそのためだろう。
- もう少し路面がぬれているか一歩間違っていれば、FDがスクラップになるどころかギャラリーも啓介も32も中里も危険だったのだろうな。
- そこをいけるかいけないか、いけると分かるか分からないか、それが絶対的な差なのか。
- 「ただ運がいいだけだろ」(P157)
- 「ただの思いこみじゃねえのか オレには感じられなかったぜ…」
- ムリだと思えばオレは行かない、あの時は絶対行けると思った、的な啓介の言葉を受けて。
- けっ、と信じていない様子です。
- これは中里の感性が啓介よりも劣っているためだと結論づけるのではなく、相手の命の危険を感じて知らせようとしているため強情に相手の持っている感覚の正しさを主張されても引けるわけはなく更に言ってしまう、みたいな風に考えるとまあ五杯ですね。白米が。
- 総合して考えると危険は危険だしなあ。いくら啓介が正しいとはいえ。本人が良くても周りが良くはないと。
- 不安なんだな。中里が!中里だよ!中里さんがね!
- 変なテンションですみません。
- 「(…)」『(よけいなもんだと)』「くっ」(P158)
- FFや4WDはフロント回りに余計なもんついてっからわかんねーだろうけどなあオレのクルマはFRなんだよ感覚がちげーんだよ的な啓介の発言(かなり適当)を受け、言葉に詰まる中里。
- もうどのコマの中里さんを見ても可愛いなあとしか思えなくなっているのでそれだけを打ちます。
- しかしよけいなもん、ってのはきつい言葉だ。いいじゃないの、速ければなにがついていてもさ。でもこういうところがシンプルでかつ高い機能性を持つFR乗りの美学なんだろうな。
- 以前にFRに乗っていた中里の心はかなりえぐっているだろう。
- 『くそったれが… ぐうの音も出ないぜ』(P160)
- お前は乗り方があらすぎる、フロントタイヤが垂れてたから手ごたえ甘くなったんじゃねーの、俺はタイヤを温存する運転ができるんだよ、まあクルマの差じゃねえ俺とお前のテクニックの差だ、といったようなことを、冷静に啓介に言われた中里の思い。
- 啓介の考えは基本を涼介から受け取りそれを自分で消化して更に練り上げたものであろうから、すなわち涼介の思考と啓介自身の経験の裏打ちがある完璧な理論なわけだ。
- そりゃぐうの音も出ないわな。
- この隣のコマの中里さんの顔が、ちょっとごついです。
- 『完敗だ… 高橋啓介…なんて奴だ…!!』
- と、棒立ちになり痛感する中里。
- 中里ですら完敗だと思ってしまうのだから、これで啓介の速さは鉄板だな。
- そしてここの中里さんの顔がちょっと泣きそうな感じでそそります。
タイトルではもう次の話にいっていますし、32対FDの余韻もなんのその、ダウンヒルバトルへの期待とケンタの主張が終わりにバーンときます。中里が負けて衝撃を受けている慎吾は半ページで終わりました。FDの歩道走行を見るたびもしこれでギャラリーを轢いちゃってたら啓介交通刑務所編とか入っちゃったんだろうかとか不謹慎なことを考えてしまいます。あぶねーもんなあれは。いなけりゃなんも問題ないんだろうけどなあ。いちゃったもんなあ。しかしこれタイムトライアルの結果はどうなってんだろう。そして慎吾のダウンヒルがあったらどうなってたのかなあ。やっぱ啓介(なのか?)に負けて完敗だ、とか思ったんだろうか。でバトルは終わったが、まだ中里は登場します。
- 「別にかまわないぜこの雨だし 下りスペシャリストの慎吾がこのありさまじゃあな」(P171)
- ケンタが拓海にバトルを申し込み、拓海がナイトキッズとレッドサンズの交流戦(ナイトキッズを先にするのか)にでしゃばるわけにはいかない、と一旦は断ったところへ、涼介がナイトキッズも納得していることだ、と中里に話を振ってのセリフ。
- 目をつむり腰に両手を当てているような、納得しているとも気落ちしているとも取れる様子で。
- 拓海の憂慮を除こうとしている感じがある。
- さらに下りでの慎吾の実力をこういう場でも認めているようである。
- 負けたとはいえこういった役どころを引き受けるあたりが男前だ。
- 慎吾はこの言葉はきついだろうなー。怪我さえしてなけりゃ他にやりようがあったのかもしれないし。
- 「この交流戦はオレ達の負けだ… こっから先のことはうちのチームとは関係ない…そっちの好きなようにしてくれ」(P172)
- あーもー可愛いなー切ないなーたまんねーなあおい。
- 涼介とどのような話をして、そういった結論に達したのか。
- 次のコマの拓海もなんだかたまらなそうな表情です。おそらくは走りたいという欲求とお株を奪うようなマネへの罪悪感のせめぎあいによるのでしょうが、中里さんもがくっときている顔であるし、これは色々やりようがありますね。
というわけでケンタと拓海のバトルが始まり、エンペラーの存在もにおわされ、啓介がすねています。中里と慎吾は、あーもうねえ。この巻は漫画としては勿論面白いですが、辛いですね。中里が涼介相手にタンカを切っていた頃や啓介と遊んでいた頃や二人仲良くFC対ハチロクを観戦していた頃が懐かしいものです。
- 「つう…!!」(P130)
- 巻の最初でランエボはすげえやべえなどと言われた中での、妙義山でのR32対エボ4である。
- このバトルは天の声によって解説が進むので、中里のセリフ自体はほとんどありません。むしろバトル中はこれだけです。あとはぶつけたときにわああああと書き文字が入るくらいです。
- そして同コマでは中里がレッドサンズとの交流戦で負けたショックを引きずっている、と説明されています。
- ここで中里の力が100%出たかといえば違うであろうが、精神面のムラッ気が欠点だとか迷いがあるだとかも書かれているので、それも実力のうちといえばそうかもしれない。
- ああ、この顔もいいな。もうどの顔でもいいよ。100中里だよ中里。
- 「てめえらァ…」
- バトルに負け、エンペラーのメンバーにステッカーをピリピリ切られて。
- これがひとまずは最後のセリフであり、最後の登場であるのだった。
- こんなことされちゃあ中里さんはきっついだろうなあ。なにせ自分が負けちまってるし。こりゃつっこみ甲斐がある。
- 横に並ぶデンジャラス慎吾以上に清次たちが悪役に見えますね。
- でもおそらく本質的には似たり寄ったりではあるまいか、というかそうだったらいいな。
- そんな中にいる中里は、ああもうなんでもいいです。なんでも。もうたまらん。ありがとう。
慎吾が「群馬エリアにはまだまだ速い奴がいくらでもいるんだ!!」と言っているのは、それはどうなんだろうそうなんだろうかと思ってしまいますが、まあそれはそれとして、これにて中里さんの出演場面は終わりであると思いますので、これも終わりです。あれ、終わりだよな。しかしまったく、中里毅という男は底が知れないキャラクターだ。多彩なセリフと表情、出で立ちと存在感と物語における役割、なにをとってもたまらない。できればもう少し出てほしかったけれど、エンペラーが出てきちゃあ仕様がないか。立つ鳥跡を濁さず、とも言うしな。終わります。